チーズはその国それぞれの作り方があって、その国それぞれの分類方法があります。
この記事では、NPO法人チーズプロフェッショナル協会が発行している「チーズの教本」に則って、
フランスの分類方法をさらにアレンジし、7分類にしています。
さらに、7分類には当てはまらないチーズの分類についても併せてご紹介しますね!
ナチュラルチーズ
チーズをまず、ナチュラルチーズと呼んでいるのは日本だけだそうな…
ナチュラルチーズとは、微生物や酵素がチーズ内部にまだ生きている状態のものを指す場合が多いです。
そのため、時間を置くと微生物や酵素がチーズの状態を変化させて熟成するんですね!
その反対で、微生物や酵素が殺菌され、熟成しないチーズは当記事の下にある「その他」分類になってきます。
日本で有名なものはプロセスチーズですね!
フレッシュタイプのチーズ
その名の通り、熟成をさせないチーズです。
ヨーグルトから水分を抜いてもフレッシュチーズという分類になります。
ナチュラルチーズのほか6分類は、牛乳から脂肪分などの固形物を凝固させて、微生物などの力を借り熟成させます。
が、フレッシュチーズは熟成させないので、ミルク本来の味を楽しめるチーズになっています。
真っ白なチーズで水分が多く、乳の持つ酸味・コク・甘さがダイレクトに伝わってくるのが特徴です。
また、モッツァレラチーズは、フレッシュチーズながらも、別の分類になることがあります。
それはパスタフィラータタイプです。
パスタフィラータの特徴は、チーズを練るということです。
乳を凝固させた後、チーズの水分を分離させることで、カードというチーズの元になる白い塊が出来上がります。
普段のフレッシュチーズであれば、このカードを型に詰めるなりして成形して完成となります。
さらにそのカードを熱湯の中で伸ばして丸めて…という練る作業を繰り返すことで、繊維状になり水分を含みます。
もっちりと弾力のあるチーズが出来上がります。
料理などに使いやすいタイプ。そのままでオリーブやはちみつをかけても!とにかくなんにでも合います!
代表的なフレッシュチーズ
- モッツァレラ
- フロマージュ・ブラン
- フェタ
- パニール
白カビタイプのチーズ
熟成前のチーズをグリーンチーズといいます。
グリーンチーズ表面に白カビを吹き付けたりして、繁殖させて熟成させるチーズです。
最近では凝固前の乳に白カビを添加させて、内部からも白カビ尽くし!というチーズも出てきました。
吹きかけるタイプは外から白カビがアミノ酸などを分解し、柔らかく風味がついていくのに対して、
乳に添加するタイプは中から柔らかく独特な風味を作っています。
吹きかけタイプとはまた異なる風味がしますよ。
熟成が進んだ白カビチーズは、表面がふさふさと指で押した跡がつくくらいにカビで覆われるものまで。
さらに熟成したものだと、アンモニアが発生するので、食べたときに刺激のある風味になってきます。
熟成させるのが上手な工房さんは、アンモニア臭やその刺激がないのにとろっとろで、風味豊かな白カビチーズを作っているところもあるんですよ!
パンと食べても、そのまま食べても!初心者からおすすめチーズです!
代表的な白カビチーズ
- カマンベール
- ブリー
ウォッシュタイプのチーズ
このタイプのチーズに対して苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか?
実際私も初めは苦手で、見た目がねとねとしていて気持ち悪いし、臭いし!敬遠していましたが、今では7分類の中でトップクラスに好きなタイプです。
そんなウォッシュタイプについてみていきましょう!
グリーンチーズを塩水や酒などで洗い熟成をさせていくチーズのことをいいます。
この作業をすることで、チーズ作りに不要な雑菌やカビなどの繁殖を抑え、ウォッシュチーズに必要なリネンス菌の繁殖をうまく行うことができます!
昔の人はこんなことを発見してねとねとしているチーズを食べるってすごい挑戦ですよね…
リネンス菌が表面で繁殖すると、チーズ表面が赤っぽいオレンジになってきて、独特的な香り・粘り気が出てきます。
見た目は正直良くないと思います!
でも食べてみると、まろやかでミルクのコクやうまみがじゅわぁーっと出てきて病みつきになること間違いなし!
そのままでも美味しいし、蒸かしたジャガイモとともにオーブンで!
代表的なウォッシュチーズ
- エポワス
- マンステール
- モン・ドール
シェーブルタイプのチーズ
ヤギの乳で作られたチーズすべてをシェーブルタイプといいます。
なので、ヤギ乳を使った白カビタイプのチーズでもシェーブルタイプになります。
子ヤギを育てる春から秋(3-10月)までにかけてが旬といわれていて、期間限定で売られるチーズも多くあります。
シェーブルタイプの中には、酵母タイプともいわれるチーズもあります。
カビを一切植え付けず、チーズ表面に木炭の粉をまぶしたり、乾燥などで自然と表皮が作られるものになります。
ヤギの乳は香りを吸収しやすいため、保存の際は香りの強いものと一緒に保管はせず、単体で保存を推奨されていたり。
他の動物にはないけもの臭さがチーズにあって、熟成するとトロトロになり、さらにけもの臭さが増すようなものが多いです。
ほかの分類チーズとはちょっと異なる異質な存在なのかな?と思っています。
ヤギ乳の特徴として、若いチーズ(熟成が浅い)は酸味が強く、組織が弱いため大きなチーズを作るのが難しいです。
そのため、販売されているシェーブルタイプを見てみると、大きくても手のひらサイズのものが多くなっています。
大きく作れないためか産地によって独自の形が多くあります。
レンガのような四角いチーズ・ピラミッドのような形をした三角チーズ・円筒状のチーズ・ドーナッツ状のチーズなどなど・・・見るだけでも面白いタイプのチーズですよ。
チーズ初心者には手の出しにくいチーズですが、食べなれてきたらシェーブルタイプを食べてみてくださいね。独特な風味のトリコになりますから!
代表的なシェーブルチーズ
- サント・モール・ド・トゥーレーヌ
- ヴァランセ
青カビタイプのチーズ(ブルーチーズ)
熟成前のチーズをグリーンチーズといいます。
グリーンチーズ内部に青カビ添加させ、繁殖させて熟成させるチーズです。
販売されているチーズをよく見てみると、細い縦穴が空いてあるものを見たことがありませんか?
それは青カビをチーズの内部に添加させるための穴なんです。
無数に金属の針が付いたものを、チーズに刺し、できた穴に青カビを植え付け増殖させます。
青カビは生育に酸素が不可欠で、そのための穴なんです。
ある程度青カビが生えたら、アルミホイルのような金属箔でチーズ全体を包み熟成させます。
包み熟成させることで青カビタイプ特有の香りと、独特な食感を作っているそうです。
このタイプのチーズには塩分が弱い・強いもの、舌への刺激が弱い・強いものなどさまざまあるので、自分の好きなタイプのチーズを探してみてくださいね。
代表的な青かびチーズ
- ロックフォール
- スティルトン
- ゴルゴンゾーラ
セミハードタイプのチーズ
非加熱圧搾タイプともいわれていて、全分類でチーズの種類が1番多いタイプです。
セミハードタイプとハードタイプの違いって硬さだと思っていませんか?
実際硬さで分けられているのではなくて、作るときに加熱をしているかどうかで決まるんです!
セミハードタイプは非加熱圧搾タイプ。ハードタイプは加熱圧搾タイプといわれている理由です。
セミハードタイプはチーズを作る際、40度以下の加熱に抑え、圧縮成形を行います。
そのため、水分がハードタイプ(加熱圧搾)に比べ出ていきにくくなっています。
水分量が多い→少し柔らかい・長期保存がきかない。となるわけですね!
見た目が相当柔らかそうなものから、石のように固そうなものまでさまざまな見た目(テクスチャ)をしていて、一目ではセミハードタイプと判断がつかないものも多いです。
香りが豊かな多いのでまずはぜひそのまま食べてみてください!
代表的なセミハードチーズ
- ペコリーノ・ロマーノ
- ケソ・マンチェゴ
- ゴーダ
- ミモレット
ハードタイプのチーズ
加熱圧搾タイプともいわれていています。
セミハードタイプと違い、加熱圧搾といわれているとおり、チーズの製造過程で50度程度まで加熱し成形します。
そのため、水分がセミハードタイプ(非加熱圧搾)に比べ出ていきやすくなります。
水分量が少ない→硬い・長期保存がきく。となるわけですね!
長期熟成するタイプも多く、風味もとても豊かで、少量を食べただけでもぎゅっとうまみが詰まっています。
1つ1つのチーズが大型の傾向が多く、フランスで1番食べられているコンテはなんと40キロもあるそう!
香りが良いので削って料理にかけたり溶かして食べてみてください!
代表的なハードチーズ
- コンテ
- パルミジャーノ・レッジャーノ
- エメンタール(エメンターラー)
その他分類のチーズ
プロセスチーズ
私たちにとてもなじみのあるチーズといえば、プロセスチーズ!
スーパーで売っているチーズの大半はこれになるかも。
一口サイズの物やとろけるチーズ・6pチーズなどはプロセスチーズになります。
ナチュラルチーズに熱を加えて溶かし、液体化(乳化)させ再度冷やし固めます。
熱を加えて溶かす工程で微生物が死滅し、微生物の力が働かないことで安定した状態のチーズを作れるようになりました。
微生物がいないから長期保存はできるけど、1度開けたらすぐカビてしまうので注意ですよー!
代表的なプロセスチーズ
- スライスチーズ
- 6pチーズ
- ベビーチーズ
乳清チーズ(ホエイチーズ)
ナチュラルチーズを作るときに牛乳の固形物を固めてチーズを作りますが、その時に余る乳清(ホエイ)が原料のチーズです。
乳清を再加熱して、脱水し固めることで乳清チーズが出来上がります。
熟成させることはなく、見た目もフレッシュタイプに近いですが、チーズの不要物から作るチーズはチーズではないようです。
バケットに乗せて食べるのがおすすめ!コーヒーや好きな飲み物と飲んでも併せやすいですよ!
代表的な乳清チーズ
- リコッタ
- スキクイーン(イェトスト)
さいごに
チーズって意外と多くの種類分けがされていて、何が何だかわからないと思います。
そんな方にこのブログが役に立てていればうれしいです。
チーズに興味がでたら自分の好きなタイプを見つけて、そのタイプ内で様々なものを食べ比べてみてください。
きっとさらに好きなチーズが出てくるので。
そこからどんなパンが合うかな?お酒が合うかな?など考えるのはとても面白いですよ!